妊婦がカップラーメンを食べても大丈夫!?胎児への影響は?
妊娠中なのに急にカップラーメンが食べたくなることがありますよね。先輩ママでも特につわりのときに無性に食べたくなったという方が多いようです。
普段それほど好きでなかった方ほどカップラーメンを食べたくなる傾向が強いようです。
一般的に「カップラーメンは身体に悪い」と言われています。まして妊娠中に食べるなんて胎児への影響を考えるともっての外という意見が多数でしょう。
つわりでカップラーメンなら食べられるのに・・・という方も多いはず。
そこで今回は「妊娠中にカップラーメンを食べても大丈夫なのか?」「胎児へどのような影響があるのか?」について徹底的に解説していきたいと思います。
妊娠中にカップラーメンを食べても大丈夫!?
結論から言うと、毎日でなければ妊娠中にカップラーメンを食べてもそれほど気にする必要はありません。
「カップラーメンなら食べられるのに・・・」という場合に無理して制限する必要はありません。もちろん食べる際には注意点がいくつかあります。
つわりの原因は解明されていません。しかし近年の研究で有力な説とされているのは「胎児が異物と判断し拒絶している」というものです。食べたいものを食べるのは決して悪いことではないという考え方です。
ただし、塩分と葉酸はこの限りではありません。塩分の過剰摂取は「妊娠性高血圧症」の原因となりますし、葉酸は胎児の成長に欠かせない栄養素ですので積極的に摂取する必要があります。
妊娠中に必要な栄養素についてはこちらの記事で詳しく解説していますのでチェックしておいてくださいね。
参考記事「葉酸だけではダメ!妊婦が摂取すべき栄養素と危険な栄養素を徹底解説!」
おそば好きの方にはこちらの記事がおすすめです^^
参考記事「妊婦さんにそばをオススメする3つの理由とは?赤ちゃんへの影響は?」
参考記事「「ざるそば」と「もりそば」本当の違いを知ってますか?〜完結編〜」
ではどれくらい食べても大丈夫なのでしょうか?そしてなぜ「カップラーメンは身体に悪い」と言われているのでしょうか?順番に解説していきたいと思います。
どれくらい食べても大丈夫なの?
つわりでカップラーメンぐらいしか食べることができない場合には、塩分と栄養バランスさえ気を付ければ食べても問題ありません。
カップラーメンに含まれる食品添加物は妊婦や胎児の健康には問題のない量です。
しかし何でもそうですが食べ過ぎは身体に良くありませんし、気を付けていても塩分摂取量が多くなってしまいがちです。
添加物が含まれない自然食品を摂取した方が望ましいのは言うまでもありません。
週に2~3回程度にしておきましょう。
カップラーメンはこうやって食べよう!
スープは残そう
カップラーメンのスープは塩分多く含まれていますので、食べる時にはスープを残して食べると塩分摂取を抑えることができます。
食べている最中にも麺がスープを吸ってしまうので食べる前に麺とスープを分けておくとよいでしょう。
ではどれくらいスープを残せばよいのでしょうか?
こちらのサイト「ラーメンの塩分の量!スープを残すと摂取量はどれくらい?」に、一般的なインスタントラーメンの塩分含有量を6.3グラムとしてスープを残した割合による塩分量について詳細に記載されています。
<塩分摂取量(1食あたりの塩分含有量6.3グラム)>
- スープを全部残した場合 2.4グラム 62%減
- スープを半分残した場合 4.2グラム 34%減
- スープを2割残した場合 5.4グラム 15%減
- 全部飲んだ場合 6.3グラム
スープを半分残したとしても1日の塩分摂取量目安7gの半分を超えてしまいます。なるべく全部残すようにしたほうがよいでしょう。
スープを多めに摂取してしまった場合には1日全体で塩分摂取量を調整するようにしましょう。
妊婦の1日の塩分摂取量についてはこちらの記事で詳しく解説していますので是非チェックしておいてくださいね。
参考記事「妊婦の塩分取りすぎは危険!1日の塩分摂取量と排出方法を徹底解説!」
麺を2度茹でする
この後解説しますが、カップラーメンによる「リン」の過剰摂取は心配いりません。
それでも気になるようであれば、麺を2度茹で(お湯を注ぎ一旦捨てて新しくお湯を注ぎなおす)することで「リン」の摂取量を減少させることができます。
また2度茹では「フライ麺」の場合に油分を落とすことができるので、脂質量が気になる方にもおすすめです。
カップ容器から他の器に移して食べる
カップ容器の「スチレン」についてもこの後解説しますが、気になる方は別の器に移して調理するとよいでしょう。
野菜などをトッピング
カップラーメンは主に炭水化物なので、ビタミンやミネラル、たんぱく質などを一緒にトッピングして摂取するとよいでしょう。
「ほうれん草」「小松菜」「たまご」「海藻類」などがおすすめです。
- ほうれん草 ・・・ 葉酸や鉄分をはじめ妊婦に必要な栄養素が豊富です。
- たまご ・・・ たんぱく質摂取に。
- 海藻類 ・・・ ミネラルが豊富。乾燥わかめなどでOK
これだけトッピングするだけで栄養バランスがグンと良くなりますので是非お試しください。
カップラーメンは「身体に悪い」!?
一般的にカップラーメンが身体に悪いと言われている理由を挙げてひとつひとつ検証してみましょう。
栄養バランスが悪い?!
カップラーメンは「栄養バランスが悪い」とよく耳にします。確かにほとんどが炭水化物なのでカップラーメンだけでは栄養バランスが悪いですね。
ただし、これはご飯やパンにも同じことが言えます。カップラーメンの栄養バランスが悪いならお母さんが作ったおにぎりも栄養バランスが悪いという事になりますね。
和食は栄養バランスが良いとされています。それは魚、野菜などを一緒に食べることでたんぱく質、ビタミン、ミネラルをバランス良く摂取できるからです。
カップラーメンも野菜や卵などを一緒に食べることで栄養バランスを良くすることができるのです。
ちなみに、一般的なカップラーメン(100g)に含まれるビタミンB1の量は約1.4mgで、成人女性が1日に摂取すべきビタミンB1の量(0.9~1.1mg)をクリアしています。
塩分量が高い?!
厚生労働省発表の「日本人の食事摂取基準 2015年版」によると日本人の成人女性に推奨される1日の食塩摂取量は「7.0g未満」とされています。
カップラーメンの塩分量はスープの種類やメーカーによって異なりますが、1食あたり5~6グラムですので確かに塩分量が高くなっています。一日分の塩分のほとんどを1食のカップラーメンで取得する事となってしまいます。
ただし、塩分はほとんどがスープに含まれていますのでスープを残すようにすれば塩分摂取は大幅に抑えることが可能です。
妊婦の1日の塩分摂取量についてはこちらの記事が参考になります。是非チェックしておいてくださいね。
参考記事「妊婦の塩分取りすぎは危険!1日の塩分摂取量と排出方法を徹底解説!」
カロリーが高い?!
一般的なカップラーメンの1食分のカロリーは「300~500kcal」です。ちなみに定番の「日清カップヌードル(77g)」の1食分のカロリーは「335kcal」です。
ご飯一杯(160グラム)のカロリーが「269kcal」ですから、多めにご飯を盛ると同じくらいのカロリーとなる計算です。
カレーライス1食分のカロリー「862kcal」、チャーハン1食分のカロリーが「673kcal」ですので、カップラーメンだけ突出してカロリーが高いという事はありません。
成人女性の1日に必要なエネルギーは「1,950~2,000kcal」とされていますので、3食カップラーメンを食べたとするとむしろカロリーは足りないくらいの計算になるのです。
<カロリー比較>
- 日清カップヌードル(77g) 335kcal
- ご飯一杯(169グラム) 296kcal
- チャーハン1食分 673kcal
- カレーライス1食分 862kcal
脂質が多い?!
一般的なカップラーメンに含まれる脂質量は1食あたり「14〜17グラム」です。
こちらも他の食べ物と比較するとカレーライスが「26グラム」、チャーハンが「20グラム」です。
「ノンフライ麺」にあっては1食あたり「4〜6グラム」とかなり脂質量の摂取を抑えることができます。
カップラーメンの脂質量はカレーやチャーハンよりも低く特別多いとは言えないでしょう。
<脂質量比較>
- 一般的なカップラーメン 14〜17グラム
- カレーライス 26グラム
- チャーハンが 20グラム
添加物が心配
カップラーメンが体に悪いとされる一番の理由は「食品添加物」ではないでしょうか。
添加物は食品衛生法で安全と認められたものであり、厚生労働省の厳しいチェックを受けたものしか販売できません。販売されている食品であるという時点で高い安全性を確保できているといえます。
中でも「JASマーク」がついている製品はより厳しい基準が設定されており、ほとんどが天然素材から抽出された添加物を使用しています。ちなみに日本製のカップラーメンの80%は「JASマーク」の基準を受けています。
添加物が気になるという方は「JASマーク」の記載があるカップラーメンを購入すると良いでしょう。
「リン」について
カップラーメンの添加物の中でも「リン」が含まれていることに不安をお持ちの方が多くいらっしゃいます。
「リン」は骨や歯を作ったり糖質の代謝を良くしたりする働きをします。魚介類や乳製品などに多くの食品に含まれいます。通常では不足することはないと言われています。
過剰に摂取すると骨からカルシウムが排出されてしまいます。このことから妊婦がカルシウム不足となり胎児にも影響が出る可能性があると言われています。
カップラーメンを食べるとリンの過剰摂取になる?
では「リン」を1日にどれくらい摂取すれば過剰摂取となるのでしょうか?
厚生労働省は「日本人の食事摂取基準 2015年版」にて一日に摂取しても問題ないとされる上限値として「耐用上限量」を提供しています。その数値は男女とも「3000mg」となっています。
- 1日あたりのリン「耐用上限量」(男女共通) 3000mg
このことから、リンは1日「3000mg」以上摂取すると過剰摂取となると言えます。
ではカップラーメン1食分に含まれるリンはどれくらい含まれているのでしょうか?
- カップラーメン1食分に含まれるリン 約120mg
計算上1日にカップラーメンを25個以上食べないとリンの過剰摂取とならないのです。
ちなみに他の食品のリンの含有量はどのれくらいなのでしょうか?
<リン含有量比較(100g中)>
- ヨーグルト 100mg
- たまご 180mg
- 納豆 190mg
- カマンベールチーズ 330mg
- プロセスチーズ 730mg
カップラーメンのリン含有量が突出して高いわけではないことがお分かり頂けると思います。
また食品添加物はカップラーメンに限ったことではありません。あらゆる加工食品や調味料、ドレッシングなどに使用されており、食品添加物を一切摂取しない事のほうが現代においては難しくなってきています。
とはいっても添加物の影響はまだまだ解明できていない部分もあります。なるべく添加物の摂取は控えるようにした方がよいのは言うまでもありません。
参考文献「栄養素別食品一覧」
参考文献「厚生労働省発表 日本人の食事摂取基準 2015年版」
容器に発がん性物質が?!
1990年代にカップラーメンの容器に使用されている「発泡ポリスチレン」に含まれる「スチレン」に発がん性があり、お湯を注ぐことで溶け出す恐れがあると話題になったことがあります。
ごく微量の「スチレン」が溶け出すという事例も報告されていますが「スチレン」は天然食品にも含まれている成分です。
発がん性が懸念されるのは極めて高濃度の「スチレン」を摂取したケースです。仮にごく微量が溶け出したとしても天然食品から摂取される量と同じで健康には全く問題ないレベルであることが実験・研究結果から明らかとなっています。
食品に使われる容器は厳しい材質試験や溶出試験をクリアしなければ使用することができません。カップラーメンの容器については「JAS規格」でさらに厳しい条件が課せられています。厚生労働省が「がん発症」の可能性がある容器の使用を認めることはありません。
カップラーメンを50年間毎日食べ続けたら?
カップラーメンを毎日食べ続けて安全性を自らの身体で実証した方がいます。「日清食品」創業者の安藤百福氏です。
安藤氏は長寿・健康の秘訣を聞かれると必ず「週2回のゴルフと毎日お昼に欠かさず食べるチキンラーメン」と答えるのが口癖で、48歳から亡くなる98歳までの約50年間毎日昼食にチキンラーメンを食べ続けたそうです。
急性心筋梗塞で亡くなる3日前には社員とのゴルフで18ホールを回っていたというから驚きです。
参考文献「ウィキペディア」
なぜカップラーメンは悪者なのか?
1950年代にはじめて日清食品の「チキンラーメン」が発売されてから、全国で売り切れが続出するほど空前のブームとなりました。
当然他の企業も多数参入し似たような商品を発売していきましたが、中には粗悪な油や麺で作られたものを利益優先で発売してまう企業も多くありました。
当時は戦後間もなく国の規制も行き届いていない時代だったこともあり、粗悪な商品が流通しお腹を壊してしまう人が多く現れたのです。
そのことがマスコミに大々的に報道され「インスタントラーメンは身体に悪い」という印象が植え付けられてしまったのです。
この世代の方々が自分の子供へ「インスタントラーメンは身体に悪い」と伝えることで現在のイメージに至っているようです。
もちろん現在は粗悪な商品が出回る事はありませんが、小さい頃に親から刷り込まれたイメージが大きく影響していることは間違いなさそうです。
まとめ
いかがでしたが?
スープを残すなど塩分に気を付ければ妊婦でもカップラーメンは食べても構いません。ただし食べ過ぎには注意しましょう。
これまで見てきたように「カップラーメンが身体に悪い」というイメージは過去のものとなりつつあります。
もちろん食べ過ぎは良くありませんが、「カップラーメン=身体に悪い」と気にしずぎてストレスになってはお腹の赤ちゃんにも良くありません。
つわりの時は食べたいものを節度を守って食べ、心穏やかに過ごせるようにしたいものですね。
今回のような悩みをお持ちの方はこちらの記事も参考になります。是非チェックしてみて下さい。
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妊婦が摂取すべき栄養素は葉酸だけでは全く足りません。こちらの記事に「妊婦が摂取すべき栄養素」について詳しく解説していますので是非チェックしてみて下さいね。
参考記事「葉酸だけではダメ!妊婦が摂取すべき栄養素と危険な栄養素を徹底解説!」
また、塩分摂取量についても注意が必要です。妊娠中は通常通りの食生活では塩分を取りすぎです。こちらの記事で詳しく解説していますのでチェックしてみて下さい。
参考記事「妊婦の塩分取りすぎは危険!1日の塩分摂取量と排出方法を徹底解説!」