「胎児が小さい」原因と対策は?低体重児にならないためにママができる事
定期健診でお腹の赤ちゃんのエコー写真を見るのは毎回とても楽しみですよね。
そんな時先生から「ちょっと小さいね」と言われたら・・・
え?ちゃんと成長していない? 私の栄養が足りてない? このままだともしかしたら・・・ と誰でも不安な気持ちになりますよね。
しかし、医師から特別な指導がなければ「ちょっと小さい」くらいでは心配いりません。
「胎児が小さい」といっても平均体重と比較してどれくらい小さいのか?推定体重とはどんなものなのか?などを理解すると、ほとんどの場合は心配する必要が無いことが分かってきます。
そこで今回は「胎児が小さい、体重が増えない原因」「推定体重の考え方」「胎児が小さい場合の対策」について徹底的に解説していきたいと思います。
目次
胎児の「推定体重」は正確なものではない!
まずお伝えしておきたいのは、「推定体重は正確なものではない」ということです。
推定体重は胎児の頭や足などの長さを測ることで算出するのですが、計測する際の誤差は避けられません。
公益社団法人日本産婦人科医会発表の「推定胎児体重と胎児発育曲線 保健指導マニュアル」によれば、±10%の誤差は避けられないとされています。
参考資料:「推定胎児体重と胎児発育曲線 保健指導マニュアル」
たとえば推定体重が2000gの場合には、10%分の200g分上限下限に差が出るということになりますので推定体重は1800g〜2200gと幅があるということになります。
なぜ誤差がでてしまうのでしょうか?
胎児を計測する際はモニターに映る見えにくい画像から行います。操作に不慣れな医師だとどうしても計測値にブレが出てきてしまうのです。
この誤差を考えると、推定体重が減少した場合でもゆっくりと体重が増えていると考えることもできるのです。
この考え方については次の記事で詳しく説明していますので是非チェックしてみてください。
参考記事:「胎児の妊娠週ごとの体重の平均は?誤差はどれくらい?」
先輩ママたちはどうだったのでしょうか?
推定体重には正確なものではなく参考値と考えておくと気が楽になりますね。
胎児が小さくても元気なら大丈夫!
赤ちゃんが小さい、または体重が増加しないといった場合でも、ママの身体に問題がなく医師から特別な指示がなければ心配する必要はありません。
これまで見てきたようにあくまで推定体重であり誤差はつきものです。
あまり数値にとらわれすぎに、気を楽にして過ごすようにしていただければと思います。
先輩ママ達はどうだった?
その日の夕方破水して日付が変わった2時すぎ出産しましたが、体重は3540グラム(>.<)
先生に聞いたら、エコーは余りあてにならないよぉと言われました。detail.chiebukuro.yahoo.co.jp
胎児が小さいとどんなリスクが?
低出生体重児とは?
出生体重が2500g未満で生まれた赤ちゃんのことを「低出生体重児」と呼びます。
ちなみに1500g未満で生まれた赤ちゃんは「極低出生体重児」、1000g未満は「超低出生体重児」と呼びます。
- 低出生体重児 2500g未満で生まれた赤ちゃん
- 極低出生体重児 1500g未満で生まれた赤ちゃん
- 超低出生体重児 1000g未満で生まれた赤ちゃん
問題とならないケースも
正期産に入ってから生まれた赤ちゃんは体の機能がほぼ完成しているので、低出生体重児でもほとんど問題ないとされています。
在胎週数が35週~37週未満でうまれた低出生体重児においても正期産児とほとんど変わらないと考えられており、体が小さくても3歳過ぎから追いついて6歳までにはほとんどが平均身長・体重となると言われています。
在胎週数が28週未満でかつ1000g未満の「超低出生体重児」でうまれた場合には脳性麻痺や発達障害となるリスクが高まります。
ただし発達が遅いだけの場合もありますし、生まれたばかりの乳児では障害有無を判断できないケースが少なくありません。
医師のサポートを受けながら経過を見ていく事となります。
胎児が小さい原因とは?
胎児の成長に影響を与える原因にはどういったものがあるのか?詳しく見ていきましょう。
飲酒・喫煙
あえて言うまでもありませんが、妊娠中の飲酒・喫煙は絶対にいけません。もし飲酒・喫煙をしているママは今すぐに止めましょう。
止めるのが早ければ早いほどお腹の赤ちゃんには良い結果をもたらすことが明らかになっています。
妊娠中のアルコール摂取により胎児に与える影響はつぎのとおりです。
- 子宮内胎児発育遅延ならびに成長障害
- 精神遅滞や多動症などの中枢神経障害
- 特異顔貌、小頭症など頭蓋顔面奇形
- 心奇形、関節異常などの種々の奇形
アルコールが胎児の成長に影響を与えることは明らかです。
一方妊娠中の喫煙は、発育や機能を悪くする「胎児毒性」とともに血管収縮作用があり、子宮内胎児発育遅延がおきることは広く知られています。
パパのタバコによる受動喫煙にも十分注意してくださいね。
妊娠高血圧症候群
高血圧状態が続くことで血液の流れが悪くなり、赤ちゃんに血液が十分に届かなくなります。
赤ちゃんへの栄養や酸素が不十分になり成長が遅れてしまうのです。
母体の栄養不足
妊娠中は何かと気を付けなければならないことが沢山あります。
体重管理もそのうちの一つです。
体重が増えすぎると妊娠糖尿病になるリスクが高まるため、摂取量を抑えることがあります。
しかし摂取量をただ制限することは、胎児へ送る栄養も制限することになりかねません。
栄養バランスを考えた食事を摂取し赤ちゃんに十分な栄養分を送ってあげる必要があります。
妊婦が摂取すべき栄養素については次の記事で詳しく解説していますのでチェックしてみてくださいね。
参考記事:「葉酸だけではダメ!妊婦が摂取すべき栄養素と危険な栄養素を徹底解説!」
歯周病菌
近年、歯周病菌が早産や低出生体重児を引き起こす原因ではないかと注目されています。
歯周病菌が最終的に子宮収縮作用を引き起こし「早産」や「低出生体重児」の原因となるというものです。
歯周病でない人と比較して歯周病の人が早産になるリスクはなんと7倍と言われています!
ちなみに妊婦の飲酒によって早産となるリスクは3倍と言われています。
子宮や胎盤、臍帯(へその緒)の機能異常
子宮や胎盤に何らかの異常がある場合も考えられます。
また臍帯(へその緒)が絡まっている場合や、もともと細い場合にも血流が悪くなりますので、結果的に十分な栄養分を赤ちゃんに届けることができなくなります。
子宮内感染症
母体のウイルスや細菌などの病原体が子宮内感染し、胎児の成長に影響を与えるというものです。
流産や早産を招くおそれがあるので早期の治療が必要です。
遺伝的な要因
ママやパパも体重が小さかった場合には赤ちゃんも小さくなる場合があるようです。
胎児が小さい場合の対策は?
栄養バランスの良い食事
一番気を付けたいのが、体重を増やそうとやみくもに食べ過ぎることです。
過剰なカロリー摂取は「妊娠糖尿病」になるリスクがあります。妊娠糖尿病になるとママや赤ちゃんに様々な影響があります。
血液中の糖分がうまく処理できないことで「巨大児」となる場合もあれば、逆に赤ちゃんにうまく栄養分が届けられなくなる場合もあります。
たくさん食べて体重を増やすことよりも、栄養バランスを考えた質の高い食事を摂取することが最も大切です。
妊婦が摂取すべき栄養素については次の記事で詳細に解説していますので確認しておいてくださいね。
参考記事:「葉酸だけではダメ!妊婦が摂取すべき栄養素と危険な栄養素を徹底解説!」
生活リズムを整える
なるべく毎日決まった時間に起床、就寝することはもちろん、安定期に入ったら適度な運動も必要です。
ストレッチなどで血行をよくして赤ちゃんに栄養分がしっかり届けられるようコンディションを整えておきましょう。
からだの血行を良くするには「安産灸」がおすすめです。安産灸についてはこちらの記事で詳しく解説していますのでチェックしてみてくださいね。
参考記事:「知らないと損!妊婦にはお灸が効果的!安産灸の効果12選!」
また妊娠中の腰痛でお悩みの方は是非こちらの記事をチェックしておいてくださいね。
参考記事:「「妊娠中の腰痛」これで大丈夫!原因と対処法15選!」
数値に振り回されない!
これが一番大切です。
これまで見てきたように推定体重は正確ではありません。何らかの異常があれば必ず医師から適切な報告と指示があります。
お腹の赤ちゃんにとってママのストレスは一番よくありません。
好きな映画を見たり音楽を聴いたりして、不安な気持ちをうまくコントロールできるようにしていきましょう。
「推定体重」と「胎児発育曲線」について
そもそも「推定体重」はどうやって分かる?
お腹の中の赤ちゃんの「推定体重」はどうやってわかるのでしょうか?
簡単に説明すると「頭」 「足(大腿骨)」 「腹囲」 の長さを測り、計算式に当てはめると自動で算出される仕組みになっています。
検診の時に先生がモニターを見ながらマウスでカーソルをあわせてポチポチやっていますよね。
あのように赤ちゃんを測ることで「推定体重」が分かる仕組みになっているのです。
「胎児発育曲線」とは?
母子手帳にも記載がある「胎児の平均体重」は、正常体重で健康に出生した赤ちゃん3,762 例に行われた 14,159 回の超音波検査における計測値から作成されています。
この計測値から作成されたのが「胎児発育曲線」というもので、平均値と上限値と下限値の3本の曲線で構成されています。
この3本の範囲内に入っていて胎児が元気に動いていれば問題ないとされています。
真ん中の線が平均値ですのでこれより下回っていると「胎児が小さい」と言われることがあります。
平均値を下回っていても下限値よりも上であれば心配いりません。
胎児の妊娠週ごとの平均体重、推定体重の計算方法、胎児発育曲線については次の記事で詳しく解説していますので是非チェックしてみてください。
参考記事「「胎児の妊娠週ごとの体重の平均は?誤差はどれくらい?」
まとめ
いかがでしたか?
赤ちゃんの体重が標準より小さいと言われたら誰でも不安になりますよね。
しかしこれまで見てきたように、体重が胎児発育曲線の範囲内の体重であれば問題ありません。
範囲を下回ったとしても、体重計測には10%の誤差が発生します。
先輩ママ達の体験談からわかるように、出産してみたら全く問題なかったという声は少なくないのです。
推定体重を気にしすぎても不安が募るばかりでママの身体はもちろんお腹の赤ちゃんに良くありません。
ママが健康で赤ちゃんが元気で動いているようであれば心配いりません。
定期的に検診を受け、栄養バランスの良い食事の摂取と適度な運動をすることで多くの問題は解決されていきます。
お腹の赤ちゃんはママが心穏やかでリラックスしているのが一番心地よいのです。
マタニティライフを存分に楽しんで元気な赤ちゃんを産んでくださいね。
このような悩みをもっている方には「妊婦に必要な栄養素」や「塩分摂取」についての記事がおすすめです。
参考記事:「葉酸だけではダメ!妊婦が摂取すべき栄養素と危険な栄養素を徹底解説!」
参考記事:「妊婦の塩分取りすぎは危険!1日の塩分摂取量と排出方法を徹底解説!」
また「腰痛」が気になる方はこちらの記事がおすすめです。腰痛対策のストレッチ方法や予防方法などについて詳しく解説しています。また妊婦さんにはお灸もおすすめです。是非チェックしておいてくださいね。
参考記事:「「妊娠中の腰痛」これで大丈夫!原因と対処法15選!」
参考記事:「知らないと損!妊婦にはお灸が効果的!安産灸の効果12選!」