胎児の妊娠週数ごとの体重の平均は?誤差はどれくらい?
超音波写真に映し出された赤ちゃんを初めて見たときの感動は忘れられませんよね。
特に第1子の時はなおさらです。どんな顔をしてるんだろう?と超音波写真とにらめっこをしながら生まれてくる赤ちゃんに思いを馳せてるママさんも多いでしょう。
その超音波写真には様々なデータが記載されています。
「EFW :estimated fetal weight 推定胎児体重」 もそのうちの1つです。
子宮の中にいる赤ちゃんの体重まで分かるというのは、よく考えると不思議ですよね?
そこで今回は「妊娠週ごとの平均体重一覧」「推定体重の誤差の考え方」「胎児の推定体重を計算する仕組み」について徹底的に解説していきます。
目次
妊娠週数ごとの胎児の体重の平均値は?
妊娠週数ごとの胎児の体重の平均を確認する上で必要な「胎児発育曲線」というものをご存知ですか?
母子手帳の後半部分に記載されているあの曲線グラフの事です。
育児の発育を評価する目的で作られたもので、正常体重で健康に出生した赤ちゃん3,762 例に行われた 14,159 回の超音波検査における計測値から作成されたものです。
出典:日本産婦人科医会「超音波胎児計測の標準化と日本人の基準値」
妊娠週数ごとの3つの線(平均体重とその上限+2.0SDと下限-2.0SD)があり、胎児の推定体重がこの上限と下限の間であれば問題ないと判断できるようになっています。※SDは標準偏差を表します。
ちなみに、正常発育児の95.4%がこれら3つの線の範囲に入っており、かつ98%が下限の推定体重よりも上となっています。
次に妊娠週数ごとの胎児の平均体重を見てみましょう。
出典:日本産婦人科医会「超音波胎児計測の標準化と日本人の基準値」
胎児の推定体重に誤差はどれくらいあるの?
公益社団法人日本産婦人科医会発表の「推定胎児体重と胎児発育曲線 保健指導マニュアル」によれば、
±10%の誤差は避けられない
としています。
推定体重が2000gの場合には、10%分の200g分上限下限に差が出るということですので推定体重は1800g〜2200gと幅があるということになります。
これはかなりの誤差です。体重50kgの場合に当てはめると45kg~55kgの誤差が出るということになります。
なぜそんなに誤差が出る?
2つ理由があります。
- 測定に超音波を利用することによる原理的な誤差
- 人が計測を行うことによる人為的誤差
1つ目については、超音波は生体内の組織の反射速度により計測を行います。生体内の音速は完全に一定ではありませんので誤差が生じてしまうのです。
2つ目の人為的な誤差については、胎児の頭や足、お腹の長さを測る際の正確性を問題としています。
超音波測定器のモニーターに映し出された胎児の姿を捉え、マウスでカーソルを合わせクリックして長さを計測していきます。あまり機器の操作に慣れていない先生が担当するとズレが生じることもあります。当然算出結果にもバラツキが生じてしまうのです。
推定体重が減っていても問題ない?
超音波検診で推定体重があまり増えない、もしくは前回よりも減少したからといって慌てる必要はありません。
つまりこういう事です。
32週の時の検診で推定体重が1900gだったとして、34週で推定体重が1800gに減少したとしても、必ずしも赤ちゃんが小さくなった訳ではありません。
誤差を考えると32週の時は1,790g〜2090gの範囲内に、34週の時は1,620g〜1,980gの範囲内にあると考える事ができます。
通常赤ちゃんの体重が減少するということは考えられませんから、体重が横ばいか、32週の時に1,790gから1,980gまでゆっくり成長していると考えることもできるのです。
参考文献:日本産婦人科医会「推定胎児体重と胎児発育曲線 保健指導マニュアル」
このように計測値にはバラツキが生じるものです。
曲線の上限下限の範囲内であれば、推定体重が減少したからといってすぐに対応が必要となる訳ではありません。少し時間をおいて発育評価を受けると良いでしょう。
胎児の体重のことで悩みをお持ちの方はこちらの記事がおすすめです。是非チェックしてみてくださいね。
参考記事:「「胎児が小さい」原因と対策は?低体重児にならないためにママができる事」
参考記事:「胎児の頭が大きい!?原因は?心配いらないって本当なの?」
そもそも胎児の体重ってどうやって計算するの?
子宮の中の赤ちゃんの推定体重はどのように計算されているのでしょうか?
計算方法としては難しい計算式があるのですが、簡単に説明すると赤ちゃんの「頭」「足(大腿骨)」「腹囲」の長さを測ることによって算出します。
EFW (g) = 1.07 × BPD (cm)3 + 0.30 × AC (cm)2 × FL (cm)
EFW :estimated fetal weight 推定胎児体重
BPD :biparietal diameter 児頭大横径
APTD :antero-posterior trunk diameter 躯幹前後径
TTD :transverse trunk diameter 躯幹横径
FL :femur length 大腿骨長
AC :abdominal circumference 躯幹周囲長
あとは超音波検査機器に用意されている計算ソフトが登録したデータを自動的に計算して、推定体重(EFW)を算出してくれる仕組みとなっているのです。
まとめ
いかがでしたか?
今回は胎児の体重について、計算方法や誤差、妊娠週ごとの平均値についてまとめてみました。
これまで見てきたように推定体重には誤差があります。体重が少ないからといって気にしすぎるのもよくありません。
赤ちゃんはママが心穏やかであることが一番嬉しいのです。
あまり推定体重に一喜一憂することなくマタニティライフをうまく楽しんでくださいね。
胎児の体重についてお悩みの方には「妊婦が摂取すべき栄養素」についての記事がおすすめです。
参考記事:「葉酸だけではダメ!妊婦が摂取すべき栄養素と危険な栄養素を徹底解説!」
また妊娠中は「塩分摂取」についても細心の注意が必要です。こちらの記事で詳しく解説していますので是非チェックしておいてくださいね。
参考記事:「妊婦の塩分取りすぎは危険!1日の塩分摂取量と排出方法を徹底解説!」
また妊娠中のストレスについては以下の記事が参考になりますので是非ご覧くださいね。
~妊娠中のストレスに関するおすすめ記事~
参考記事「臨月だけど映画に行きたい!大きな音は大丈夫?赤ちゃんへの影響は?」
参考記事「妊婦がキャンプに行っても大丈夫?リスクと注意点を徹底解説!」
参考記事「妊娠中にカップラーメンを食べても大丈夫!?胎児への影響は?」
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